前回、いくつか種類のある断熱材の中で、セルロースファイバーについて書きました。prev
そもそも、どうすれば、理想の住宅になるのか?の続きとして、断熱材のお話を続けてきたのですが、断熱材の種類については、今回で最後です。
省エネ住宅に使われている断熱材・・
まず断熱材を「無機繊維系・木質繊維系・発砲プラスチック系」に分けたことを思い出してください。
最後の発砲プラスチック系の断熱材。最初によく使われる発泡プラスチック系断熱材は下記と説明しました。
- ポリスチレンフォーム
- ウレタンフォーム
- フェノールフォーム
発砲プラスチック系断熱材の特徴として、そのプラスチックを成形する際の発砲のさせ方によって違いが出るということ、気泡の大きさや数の多さによって、熱伝導率に違いが出るということ、その種類はたくさんあるということ、この辺りを知っておくと良いと思います。
では、それぞれ、もう少し説明しましょう。最初は、ポリスチレンフォーム。
ポリスチレンフォームには、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)と、押出法ポリスチレンフォーム(XPS)があります。
わかりやすく、想像しやすいのは、ビーズ法ポリスチレンフォームで、いわゆる発砲スチロールとして、住宅に使う断熱材以外でも、多くみることが出来ます。ちょっとした保冷容器にも使われているので、その断熱効果は、イメージしやすいですよね。
原材料となるポリスチレン樹脂をビーズ状にし、発砲させ膨らんだ状態の無数のビーズが融着し塊となる過程で、金型にいれ板状の発砲スチロールを成形します。
それに対して、押出法ポリスチレンフォームは、ポリスチレン樹脂と発泡剤等を特殊な機械(押し出し機)の中で混ぜ、発泡させながら連続的に押し出して成形していきます。その後、カットして必要な大きさにします。
ビーズ法ポリスチレンフォームは、特号・1号・2号・3号・4号に分けられ、特号の方が、断熱性能が高いものとなります。
また、押出法ポリスチレンフォームの種類は、1種・2種・3種と分けられ、3種の方が、断熱性能が高くなります。ちょっとややこしいですね。
次にウレタンフォーム。
ウレタンフォームの一部については、断熱材の最初のお話のところで、少しご紹介しました。下記で使ったアイキャッチ画像は、硬質ウレタンフォーム(現場発泡)です。よろしかったら、こちらも読んでみてくださいね。
硬質ウレタンフォーム(PUF)は、現場発泡のような吹き付けるタイプのものだけでなく、ポリスチレンフォームのように、板状に成型されたものもあります。
成形の仕方も、その種類によって多種ありますので、ここでは、詳細は省きますね。その種類はポリスチレンフォーム同様に、1種、2種、3種と別れているのですが、さらに細かく、かなり複雑になっています。そのため、単純に1種より3種が断熱性能が良いとはいい難くなっていますので、注意が必要です。細かく知りたい場合は、断熱材を販売している各メーカーの区分などを見て、その断熱性能を確認した方がよいでしょう。
では、最後はフェノールフォーム。
こちらは、原料がフェノール樹脂で、ポリスチレンフォームやウレタンフォーム同様、発泡剤と樹脂を混合して発砲させながら成型しています。ポリスチレンフォームや硬質ウレタンフォームより断熱性能が高いことが特徴です。
プラスチック系の断熱材の中では、ポリスチレンフォーム ⇒ 硬質ウレタンフォーム ⇒ フェノールフォームの順に高い断熱性能があり、その分、価格も高くなります。
一応、ここまで、個別に説明してきましたが、発砲プラスチック系全般の特徴としては、
【発砲プラスチック系断熱材の特質】
- 水や湿気に強い。
- 軽い。
- 加工しやすい。
水や湿気に強いということは、断熱材としては安心材料になりますね。また、軽いので、外断熱工法にも使われますし、現場作業もしやすいと思います。さらに、細かくカットすることも比較的簡単なので、隙間をぴったりと埋めるなど、現場でも柔軟に対応しやすいことも特徴です。
また、断熱パネル工法など、予め工場でパネルと断熱材を一体化させておくことにも使われる断熱材です。工場生産のため、施工不良がおこりにくいことなども特徴に上げられます。
断熱性能としては、断熱材の種類が豊富なので、熱伝導率の範囲も幅広く(0.045W/(m・K)あたりから、0.020W/(m・K)以下のものまで)、必要な性能をもつものを選択すると良いでしょう。
価格としては、無機繊維系(グラスウールやロックウール)と比べると、高くなりますが、より高性能な断熱材を求める場合は、必須ともいえます。
グラスウールの熱伝導率について、読んでいない方は下記も参考にしてくださいね。
ここまで、断熱材の種類について、お話をしてきましたが、その特質を理解した上で選ぶことと、実際には、断熱性能を上げるには、断熱材そのものの、熱伝導率だけでなく、使用する断熱材の厚みも重要になってきます。
断熱の厚みが厚ければ厚いほど、家そのものの断熱性能は高くなります。
いずれにしても、性能の良さは、価格に反映しますし、厚みを厚くすればするほど、またさらに価格は上がります。何を選ぶかは総合的な判断が必要になってくると思いますので、迷うとは思いますが、後悔のない選択を是非してください。
断熱材は、構造の一部(充填断熱、外断熱など、いろいろと施工の仕方がありますが・・)として、後から、簡単に追加するという類のものではないと考えておく必要があるのです。
ではでは、断熱材の種類のお話は終わりますが、まだまだお伝えしたいことがある、省エネのお話。
ですが、より話が難しくなるので、一旦休憩して・・次は、間取りをテーマにしたお話に。